ねぇ、先生。

先生、暑いのは平気だよね。

冬は好き?寒いのは平気?

あたし、季節が変わって先生とまともに話してないから、知らないことが増えちゃったよ。


「…先生…?」

いつまで待ってもあたしのノックに、返事は返ってこなかった。

聞こえてるのに無視してるのか、それとも中にいないのか。

どっちにしても胸はギュッと痛いくらいに締め付けられた。


中村さんはきっと、ちゃんと先生に言ってくれた。多分、あたしとその話をしてすぐに。

だから先生は知ってるよね。

あたしが今日ここに来るってこと。

ドアノブに手をかけると、ガチャッと小さく音がした。


「…せんせ…?」

ゆっくりドアが開いていく。

やっぱり、あたしここが好きだ。
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