ねぇ、先生。
だけどすぐに帰ることは出来なくて、先生はいないのに中に入った。
入り口からは見えなかったけど、机の上に何か置いてある。
「あ…」
先生がいないことに気を取られて、それを気にする余裕はなかった。
よく見るとそれは花束で。
卒業生はみんなカーネーションを貰ったけど、それと並べると確実に見劣りしてしまうような、小さなピンクの花だった。
それはきっと、主役の花を引き立たせるようなものなんだろう。
先生がわざわざこれを選んだ理由は分からないけど、誰かへ贈るものなら、少し地味すぎるような。
近づいてそれを手に取ると、カサリと何かが床に落ちた。
メッセージカードのようなものが裏返しになって、あたしの足元にあった。
それはきっとこの花束と一緒に置いてあったもので、これを贈る人へのメッセージなんだろう。
見ちゃいけないと思いながらも、それを拾って見てしまった。