ねぇ、先生。
すごく懐いてくれてるみたい。
その男の子が言ってた。
″あのお兄ちゃんがおまわりさんのところまで連れて行ってくれたんだ!″
目をキラキラさせながら話すから、その人のことをヒーローだと思ってるんじゃないかって。
確かに優しそうな人だった気が…
―ガラ…
「あ、先生」
「ん、何してんの?」
不思議そうな顔をして歩いてくる先生の手にはジュースが2本。
「どっちがいい?」
「あ、じゃあオレンジジュースで…」
はい、と手渡されたそれは、購買の近くにある自販機で売ってるやつ。
わざわざ買ってきてくれたのかな。
「お金払います」
「いいよ、いらない」
ふにゃりと笑う先生。
「でも…」
「頑張ったご褒美。」