ねぇ、先生。
魔女と吸血鬼
文化祭前日。
今日は文化祭の準備があるから、いつものような授業はない。
いつもは机が並んでる教室も、迷路のような通路が出来てて、窓にも暗幕が掛けられてるから雰囲気が全く違う。
「茉央、動かないで」
「くすぐったいんだもん」
梨花があたしに出来たばかりの服を着せようとしてくる。
黒一色のその衣装は、どうやら明日着る魔女の衣装らしい。
あたしの隣でシロも何か着せられてるけど、あたしよりもシロの方が酷い格好してるわ。
「シロ、何なのそれ?」
「ん?ゾンビだけど」
ボロボロの布切れを体に纏わり付かせて歩く姿は、まぁ確かにゾンビって言われればゾンビだ。
シロはお化け屋敷の中でお客さんを驚かせる役らしい。
あたしは教室の入り口で立ってればいいって言われただけだから、まだマシな格好。
「梨花は何着るの?」
「あたしはこのカツラとこの白いワンピース!どう?怖くない?」
長い黒髪のカツラと少し汚れた白いワンピースなんて、ホラーでしかない。