ねぇ、先生。

「じゃあ梨花も中なんだ?」

「うん。あ、でも休憩時間は茉央と一緒だから!文化祭、一緒に回ってくれる?」

「もちろん」

やったー!なんて喜んでる梨花。飛び跳ねてると梨花は誰かにぶつかった。


「いてっ…」

ドンッと音がした方を見ると、苦笑いの篠原先生がいる。

「わっ、ごめん先生!」

「ううん、大丈夫」

ふにゃんと笑って腕をさすってる先生を見て、言葉が出なかった。


「あれ、先生明日それ着るの?」

あたしの言いたかったことを、梨花が先生に言った。

先生はいつもの緩い格好とは一変。

絵の具なんてどこにも付いてないし、シャツもシワ一つない。黒いマントに身を包んだ彼は…


「うん、吸血鬼。どう?」

紛れもなく吸血鬼。

「似合ってますよ!ね、茉央!」

「えっ…あ、はい。似合ってます…」

突然話を振られたもんだから、きっと顔に動揺が表れてた。

< 72 / 451 >

この作品をシェア

pagetop