ねぇ、先生。
「茉央、いつのまに篠原先生とあんなに仲良くなったの?」
「えっ…」
そういえば、あたしが美術室に通ってることを梨花は知らない。
言わなかったわけじゃなくて、言うタイミングがなかっただけなんだけど。
「あのー…実はね…」
キョトンとした顔であたしを見つめる梨花の顔には、どことなくワクワクした女の子が見え隠れしてる。
期待してるんだ。
「篠原先生、今絵描いてるの。それを見るために美術室に行ってて…」
「それって、2人っきりってこと?」
「まぁ、一応。美術部が活動してない日だけってことになってるから」
そう言った後、隣にいた梨花をチラッと盗み見ると、ニヤニヤしてる。
「…何?」
「ん?いや、よかったなーって」
「よかった?」
「あの人は先生だけど、茉央の好きな人でもあるでしょ?あたしは頑張ってほしいと思ってるから」