ねぇ、先生。
新学期が始まって……いや、それよりも前から、先生はあたしのバイト先に来なくなった。
あたしが先生に会えるのは学校だけ。
その学校を卒業してしまえば、元副担任と卒業生。そんなありきたりな関係になってしまう。
…あの笑顔を向けられることも、なくなってしまうんだ。
「咲良さん?」
「え…あ、はい」
「テープ、ちょうだい?」
「わ、すいません」
ボーッとしてて気づかなかった。
先生は残りの1枚を玄関の近くに貼って、満足そうにそれを眺めてる。
「…先生、文化祭が終わったらこのポスターどうするんですか?」
「んー、何も言われてないから一応美術室に置いとくつもりだけど、何で?」
あたしが書いた字と、先生が描いた絵。
「…これ、貰ってもいいですか?」
思い出として、持っていてもいいですか?