ねぇ、先生。
先生はもういつもの服に着替えてて、疲れた顔でふにゃりと笑う。
「疲れてるみたいだから、俺剥がしてくるよ。ここに居て?」
今日はどこにも絵の具付いてないなーなんて考えてたら、先生はあたしを置いて教室を出て行こうとする。
「え…あの、手伝います!」
先生の腕を咄嗟に掴む。
疲れてるのは先生だって一緒。
「大丈夫?」
「大丈夫です」
そっか、って笑う。
疲れてるのにどこか嬉しそうな笑顔を見ると、ほんとは来てほしいって思ってたのかな、なんて。
…あたしも疲れてるね。
「先生、今日は絵の具付いてないですね」
「ん?あぁ、今日は美術室に行ってないし、絵の具に触ってないからね」
絵の具が付いてない先生なんてレアだ。
きっと1年で数回しか見れない。