【完】切ないよ、仇野君
大好きなバスケ部の、泰ちゃんの為を考えたら、私はマネージャーを辞めた方がいいのかもしれない。


そう考えると泣きたくもないのに涙が溢れて止まらない。


自分よがりだけど、私はあの空間での自分の居場所を失いたくはない。


ぐずぐずと涙を流し、得意のうじうじ思考を発動させていると、部屋のドアが乱暴にノックされ、返事をする前に開く。


「千歳!お友達が来てくれとるよ!し、しかも、超可愛か男ん子!あんたやるばいた!」


興奮したお母さんの手には、その『男の子』が持ってきただろうお土産の袋がぶら下がっている。


「よっ!調子どう?……っても、あんま良く無さそうだけど」


そして、ドアの影から顔を出したのは、弄ってないのにオシャレなゆるふわの天然パーマ茶髪を揺らす、椿だった。
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