【完】切ないよ、仇野君
「あ、お母さん、それ手作りの生チョコなんですけど、手作りとか食べれますか?」


「食べる食べる!小鳥遊君って凄かね!飲みもんと中身ちょびっと出すけん待っとってな?残りはおばちゃんが食べても良か?」


イケメンにテンションが上がったお母さんに、いつも通りニコニコと対応した椿は、下に降りたお母さんを見送って扉を閉める。


「恥ずかしか。ゴメン、煩かったど?」


「全然。可愛いじゃん。ちーは見た目はお母さんに似てるのに、中身は似てねーのな」


変わらずニコニコした椿は、ベッドで寝る私の傍らに座って、私の短くなった髪の毛をふわふわと触る。


「椿、部活は?」


「あー……今日はサボッちまった。ちーと仲間」


『ちーと仲間』という、訛りの無い標準語の返しに、私は椿が全部知ってるんだということを悟る。
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