【完】切ないよ、仇野君
心の中でやっぱりうじうじしてる私は、泣いて赤くなった目で椿を見上げる。


このアングルから見ると、椿の髪の毛と同じ色の茶色い睫毛の色までも良く見えて、やっぱり椿はオシャレな顔だな、都会人だなって思ってしまう。


「……まぁ、言いにくいなら無理に話さなくても良いけど。だからさ、見上げんのナシ。……可愛、過ぎんだろ」


言葉が最後になるにつれて、どんどん声が小さくなって何を言ってるのか分からなくなったけど、視線を反らす椿の耳がほんのり赤く染まった。


「あんな、泰ちゃんに今までの好きと違うけん告白出来んて言われた。あと、ちーは椿んこつ好きとにゴメンなって。……私、否定出来んくて、好きて言えんくてな」


思い出したら、また切なくなって、悲しくなって、ベッドに添えられた椿の手の小指を、すがるように握る。
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