【完】切ないよ、仇野君
そんな私に、椿ははぁ、と溜め息を漏らして涙でベッタリと引っ付いたショートカットの髪の毛を、自由な左手で撫で避ける。


「泣くなって。俺が泣かせたみたいじゃん」


「ごめっ……やけど、涙止まらん。椿、私、バスケ部のお荷物じゃなか?私んせいで泰ちゃん、苦しっ苦しめ……!」


優しくされると、自分のダメさ加減が更に露呈するみたいで、もっと泣けてきてしまう。


「あのなぁ……ちー、こっち見ろ」


ぐずぐずに泣いてぐずぐずになった顔を強引に動かされ、私は椿の茶色く透けるような大きな瞳に捕らえられる。


べっこう飴みたいな透き通る茶色い瞳に、魔力があるよう惹き付けられてしまい、その瞳から目が離せない。
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