【完】切ないよ、仇野君
「おーい、水高諸君!迷子ば預かっとるよー!……って、高森部長!ここにおったとですか!?」
町屋君の案内のおかげで無事に水高の控え室に来れた私だけど、広い控え室には水高の部員の他に数人他校生がいる。
そこには肥後学の部長さんもいるみたいで、行雲キャプテンと椿お手製のパンを食べている模様。
「ちー!探しにいこうと思っとったつばい、どげんしたと?」
泰ちゃんが私の方へ駆け寄り柔らかな笑顔を向けると、私の頭を優しくふわふわと撫でた。
「ふーん……泰河分かりやす」
「うっさかぞ幸助。試合中分からんように強めにディフェンスすっけんね」
そんな私達の様子を見ていた町屋君は、ニヤニヤと緩くなった口元で泰ちゃんに肩パンをお見舞い。
他校同士だけど、なんだかとても仲良しなんだな。
それでもインターハイ出場枠は熊本県は一校しかないなんて、どうしても残酷な気がしてしまう。