【完】切ないよ、仇野君
第二試合、対荒商戦にて、泰ちゃんが言っていた『あれ』が日の目を見ることに。
第二クォーター6分、6点のリードを奪われたうえにディフェンスターンの水高サイド。
歩君にディフェンスについていた行雲キャプテンと泰ちゃんが、椿のサインでディフェンス位置を交代する。
その隙をついた歩君が、鋭く速いドリブルで走るのを、泰ちゃんもまるでオフェンスするような鋭さで追いかけて、ファールさえ恐れない攻撃的な動きをする。
これまで主役級の選手を支える為に動き続けた泰ちゃんのその攻撃的なディフェンスに、歩君は目に見えて困惑していた。
泰ちゃんはここ一ヶ月、朝練で毎日椿かケイ先輩と1on1をしていたが、それはオフェンスを強くする為ではなくディフェンスを強化する為だと、私は初めてここで知る。