【完】切ないよ、仇野君
「……ちーは、何ば話そうて思っとったと?」
雅美が落ち着くまでその頭を泰ちゃんみたいによしよしと撫でて、次は、私の番。
「雅美のハッピーな報告の後やけん言いにくいっちゃけど、私ね、決めたつよ」
「決めたって、何ば決めたと?」
小首を傾げる雅美に少しだけ微笑んで、目線を手元に落とすとふと、あの時の残像が脳裏を過ぎる。
オレンジ色の暖かな照明の下にあるゴールリング。そこに向かって、そこしか見つめてない、大好きな彼の背中。
「私……インターハイが終わるまで、一旦泰ちゃんのこつ好きでおるん、止めることにした」
その背中が、私のことを見る余裕がある程器用に出来てないんだって分かってるから。
私はそんな泰ちゃんだから好きになったんだって思ったから、余計なことで悩まないように、私もマネージャーとしてあのコートに立ちたいって、そう思ったから、だから、決意したんだよ。
「もしかしたら、私の気持ちが泰ちゃんば弱くするんやなかろうかって思ってん。私も戦いたかけん、やけん、しばらく封印」
もう揺るがない。そんな想いが雅美にも伝わったのか、雅美は私に何も言わなかった。
雅美が落ち着くまでその頭を泰ちゃんみたいによしよしと撫でて、次は、私の番。
「雅美のハッピーな報告の後やけん言いにくいっちゃけど、私ね、決めたつよ」
「決めたって、何ば決めたと?」
小首を傾げる雅美に少しだけ微笑んで、目線を手元に落とすとふと、あの時の残像が脳裏を過ぎる。
オレンジ色の暖かな照明の下にあるゴールリング。そこに向かって、そこしか見つめてない、大好きな彼の背中。
「私……インターハイが終わるまで、一旦泰ちゃんのこつ好きでおるん、止めることにした」
その背中が、私のことを見る余裕がある程器用に出来てないんだって分かってるから。
私はそんな泰ちゃんだから好きになったんだって思ったから、余計なことで悩まないように、私もマネージャーとしてあのコートに立ちたいって、そう思ったから、だから、決意したんだよ。
「もしかしたら、私の気持ちが泰ちゃんば弱くするんやなかろうかって思ってん。私も戦いたかけん、やけん、しばらく封印」
もう揺るがない。そんな想いが雅美にも伝わったのか、雅美は私に何も言わなかった。