【完】切ないよ、仇野君



バスに各々乗り込み落ち着くと、少しは緊張するのかと思えば、うちの部員達は心臓に毛が生えてる人達ばかりなのか、雰囲気はいつも通り。


特に一軍は、体の大きな泰ちゃんは一人で二つ座席を使い、早々に寝始め、通路を挟んだ座たでは、行雲キャプテンが椿に手作りおやつをねだってる。


そんな部員達に苦笑いしつつ、私は由貴先輩の隣に座ろうとしていたんだけれど……。


「なー由貴ぃ!この間久々に先輩から連絡貰ったんやけど……」


「うん?先輩てどれ?」


由貴先輩はケイ先輩と話が盛り上がっていて、そのまま自然な流れで相席してしまっていた。


どこに座ろうかとキョロキョロしていると、座席でスマホを弄っている雫ちゃんと視線が絡まる。


「しょんなかねぇ。ちー先輩、マジどんくさかわぁ」


「えっと、お邪魔します」


皮肉を言いながらも隣の空いた席をポンポンと叩いてくれる雫ちゃんの隠れた優しさに甘えて、私はそこへ座る。


物静かな雫ちゃんは、私の存在は無視でスマホゲームに夢中だから、私も寝ようと目を瞑ったのだけれど。
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