【完】切ないよ、仇野君
眩しいよ、仇野君
始業式とホームルームが終わり、二年生一日目が終わる。


「じゃあうち部活やけん、また明日ー!」


「うん、バイバイ」


雅美は美術部員で、春休みから描いている絵画を完成させる為にものの一番に教室から出て行く。


クラスの大半が部活の為に準備をしている中、帰宅部の私はゆっくりと帰り支度をしていた。


「……バイトでも始めるかぁ」


文化系で才能があるわけでもなく、運動が得意なわけでもない私は、学校が終われば暇だ。


この身長で去年は各運動部から声がかかったものだけど、身長が高いだけで脂肪はおろか、筋肉すらつきにくい私は、その誘いを全て丁重にお断りした。


ふぅ、と小さく溜め息をついて立ち上がり、教室の後ろの扉の方に俯いて向かうと、ドン、と頭に少し固い何かが接触した。


「いた……って、仇野、君?」


「よっ、ちー、これから暇?」


私がぶつかったのは仇野君の丁度胸元の辺りで、その後ろからひょっこり顔を出したのは、私と同じ目線の小鳥遊。
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