【完】切ないよ、仇野君
「ちー先輩、どういう風の吹き回し?」


雫ちゃんが、スマホから目線を離さないまま私にそう投げかけたものだから、私はぱちくりと瞬きをしてしまう。


「やけん、さっきんケイ先輩とん会話。……ま、俺には関係なかこつやろうばってん」


やっぱり雫ちゃんは、人のことを良く見てるんだなと思った。


そういえば椿が『俺が引退したら、ガードは雫かもなぁ』なんて呟いていたのを思い出して、雫ちゃんの凄さを実感する。


「私はね、泰ちゃんだけやなくて皆ん力になりたか。私ん気持ちで泰ちゃんば困らせるんも違うて思ったとよ」


「ふーん。……オーラ的には、負の感情は感じんし、ちー先輩的には良か決断かんしれんね」


私の決めたことに対して、雫ちゃんは少しだけ口角を上げて答えてくれた。


でも、雫ちゃんのその答えに、ひとつだけ引っかかる点がある。
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