【完】切ないよ、仇野君
「何で今年も温存なんよー!うずうずするやん!あああ……今んリバウンド取れたやろーか!」


「うっさかね!黙らんか神楽木!」


試合に出たくてじたばたしている行雲キャプテンを、すかさず箱田先生がペシンと叩く。


これは伝統みたいで、毎年、一日目は二軍中心のチームで勝ち上がるのが水高の方針。


それは、少しでも他校に手の内を見せない為や、次の代に経験を積ませる為、ベンチも層が厚いというのを見せつける為と理由は沢山あるらしい。


二軍の選手の統率力を高める為に、司令塔の椿だけは出ずっぱりになるみたいだけど。


試合に出られないキャプテンや雫ちゃん、普段穏やかな泰ちゃんでさえ見て取れるくらいにイライラしている。


ただ一人、ケイ先輩はそんな素振りも見せずに懸命に声を上げて試合を応援している。


短気なケイ先輩のこの行動に、失礼だけど意外だと思ってしまう部分がある。
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