【完】切ないよ、仇野君
「ちーちゃん今、圭介暴れんけんつまらんって思ったろ?」


そんなことを思っていた私に、由貴先輩が試合を見ながらこっそりと話しかける。


「そっ……そこまでは。ばってん、正直意外やなぁとは思っとりました」


「やんなぁ。まぁあいつ、二軍長かったけん、この一軍温存の大切さ、分かっとるとよ」


確か、ケイ先輩は去年、一時期ベンチからも外されたけど、持ち前のガッツでのし上がって来た人なんだっけ。


だとすれば、去年はこの二軍主体のチームで戦ったってことだから、今の二軍の二、三年とも他の一軍の皆より心が近いだろうし、今の真面目な応援の意味も分かる。


話しているうちに、箱田先生の指示でケイ先輩が交代で入っていく。


それだけで、一軍の椿は勿論、二軍の皆の表情が和らいだように感じた。
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