【完】切ないよ、仇野君



再び体育館へ戻ると、コートの中は半分に割られ、1対1の戦いがそれぞれ行われていた。


「一年生の入部希望ん子達ん為に、今はさっき言った1on1ばしよるとよ」


由貴先輩が指し示した先には、小鳥遊と他の部員の人が睨み合っている。


「泰河ァ!俺ん相手せれ!」


神楽木先輩もジャージを脱いでコートの中へ走り、ドリンクホルダーを握っていた仇野君を誘い、もう片方のゴールの下へ。


「良かタイミングやったね。今コートにおる面子は、うちの主力ばい」


由貴先輩がそう言ったのを聞いた後、私は先に戦いを繰り広げていた小鳥遊の方へ目線を動かした。
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