【完】切ないよ、仇野君
一年の時から同じクラスで、特別イケメンではないけど優しい篠田君は、周りからの信頼も厚い。


篠田君が悪気があってそう言ったわけじゃないのは分かっているけど、悪いのは私の身長なんだけど、やっぱりその言葉を簡単に受け止めて消化出来なかった。


じわぁ、と目頭が熱くなり、その場にいるのが居たたまれなくなって、私は体を翻し、目的地も分からないまま走り出す。


朝練をしていた運動部が教室に戻る声と足音を聞きながら、私は体育館裏に膝を抱えてしゃがみこんだ。


これが放課後ならまだしも、今から始業式だなんて、考えたくもない。


しかも、早くに学校に来たから知ってしまっている。


今年も、篠田君と同じクラスだということを。


登校してきた時は嬉しくてたまらなかったのに、今はもう、お先真っ暗。


「辛すぎる……」


そう呟いた声を皮切りに、私は可愛くもないその顔からボロボロと涙を溢した。
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