【完】切ないよ、仇野君
「なんで由貴先輩も泰ちゃんも、キャプテン達が遅刻しとっても焦らんやったとですか?」
そんな由貴先輩に疑問を投げ掛けると、涙を拭いながらこちらを見る。
「ああ、椿ん家ん庭にな、バスケのコートがあるんやって。行雲は常連でね、雫は初めて行ったみたいやし、遅くまでバスケしたやろなぁって思ったったい」
成る程……それで行雲キャプテンと椿って、定期的に一緒に帰るんだ。
「泰河が行けば朝練も遅刻せんばってん、あいつ、小さい妹がおるみたいやけん、そうそう毎度行けないんやて」
由貴先輩は部員の事情に詳しい。皆をサポートするにあたって、私もそれくらい知っていかなきゃ。
「ッシャア!今日も元気に頑張るばーい!」
「昨日夜遅くまで起動しとった人とは思えんわ……そッスよね、椿先輩?」
「まぁ、そこが行雲キャプテンの可愛いとこなんだけどなー」
そんな会話が聞こえてくる体育館の中で、何だか気持ちが綻んで、クス、と小さく笑ってしまった。
桜もすっかり散って、熊本の空は、早くも初夏の香りを漂わせ始めている。
そんな由貴先輩に疑問を投げ掛けると、涙を拭いながらこちらを見る。
「ああ、椿ん家ん庭にな、バスケのコートがあるんやって。行雲は常連でね、雫は初めて行ったみたいやし、遅くまでバスケしたやろなぁって思ったったい」
成る程……それで行雲キャプテンと椿って、定期的に一緒に帰るんだ。
「泰河が行けば朝練も遅刻せんばってん、あいつ、小さい妹がおるみたいやけん、そうそう毎度行けないんやて」
由貴先輩は部員の事情に詳しい。皆をサポートするにあたって、私もそれくらい知っていかなきゃ。
「ッシャア!今日も元気に頑張るばーい!」
「昨日夜遅くまで起動しとった人とは思えんわ……そッスよね、椿先輩?」
「まぁ、そこが行雲キャプテンの可愛いとこなんだけどなー」
そんな会話が聞こえてくる体育館の中で、何だか気持ちが綻んで、クス、と小さく笑ってしまった。
桜もすっかり散って、熊本の空は、早くも初夏の香りを漂わせ始めている。