【完】切ないよ、仇野君
進学校の私達と違い、校則が緩いらしい荒商の面々は、各々ピアスをしていたり、髪の毛を染めていてオシャレな見た目。


その中でも一際目立つ長身でブロンドヘアーの男の子に目が行った。


目鼻立ちもハッキリしていて外国人みたい……多分、ハーフなのだろう。


泰ちゃんには敵わないけれど190センチ超えだろうという長身に、長い脚が特徴的だ。


「おー歩ちゃん!先週ぶり!」


そんな彼にニッコリ笑って声をかける椿。どうやら、学校間の関係は良好みたいだ。


「南九州では勝てんやったけど、夏のインハイは今年はうちが頂くばい」


「そうはさせんし!お前等は今年も熊本二位止まりじゃー!」


そのハーフの彼に向かって汚い野次を飛ばす行雲キャプテンに、由貴先輩はすかさず蹴りを入れた。


「まずは一緒に基礎練からやね。靴は脱いだらこっちに置いとって下さいね」


由貴先輩の打撃に悶える行雲キャプテンを他所に、泰ちゃんが荒商の部員さんを案内し始める。


二年生にして副キャプテンを担っているだけあって、泰ちゃんは行雲キャプテンのフォローに長けている。
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