【完】切ないよ、仇野君
教えてよ、仇野君
「ぎゃーんキモいっすわ。何なん?青春って一筋縄じゃいかんわー的なノリ?ナイナイ」
初夏から夏に移行する五月の半ば。
昼休み、本当は浸入禁止の筈の屋上には、私と椿、行雲キャプテンとケイ先輩、雫ちゃんが陣取っていた。
手先の器用な椿は、器用なあまりヘアピンと安全ピンを駆使して、屋上の鍵を開けてしまう程。
それを良いことに、こうやってバスケ部員で屋上でお昼休みを過ごすこともしばしば。
委員会の仕事の泰ちゃんと、各運動部のマネージャーの代表の集まりに行った由貴先輩は今回は不在。
過ごしやすい季候にうとうとしていると、ふと、雫ちゃんがそんなことをボソッと呟いた。
「どいつもこいつも、先輩等、忙しかね。まずキャプテン。彼女と喧嘩したろ?それも、男絡みで。勝手にキレて収拾つかんくなっとらんですか?」
「なんで分かっとや!?コワッ!雫て由貴並にエスパーじゃね!?」
由貴先輩の場合は情報網でバスケ部員のことは何でも把握してるけど、雫ちゃんのそれはちょっと違うっぽい。
何となくだけど、そう思うんだよね。