【完】切ないよ、仇野君
「ふーん?良かねぇ青春しちょるばい」


「由貴先輩やって、あの綺麗な先輩と付き合いよるとやろ?写メも幸せそうでお似合いですやん」


「ほんなこて?ふふ、褒められたて電話で自慢してやろばい。……まぁ、無口やけん、『そうか』で終わってつまらんやろうけどな」


由貴先輩は、ポケットから取り出したスマホの待受を見つめて、ピンク色の何かを放ってとろんと笑う。


その待受に並ぶ幸せそうな由貴先輩と、照れ臭そうな去年のバスケ部主将で由貴先輩の彼氏さんである先輩。


卒業式かな、桜の木をバックに、彼に飛び付く由貴先輩と照れながらも柔らかな表情で抱き止める美青年の彼は、誰が見てもお似合いのカップル。


こういう良い仕事の写メは、きっと椿が撮ったに違いない。


その幸せな待受を一緒に眺めていると、ふと由貴先輩が思い出したように私に尋ねる。


「そういえば、ちーちゃん御劔歩とはどげんなったと?ライン友達やろ?向こうは好いとるわけやし、ガンガンアタックされたりせん?」


その質問に、私は答えに困って眉間を寄せた。
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