【完】切ないよ、仇野君
「……成る程ねぇ。まぁ、あん子は何度も話したこつあるばってんそん言葉に裏は無いやろうが、ちーちゃん、泰河んこつ好きやったら、ちゃんとフラな。御劔歩に酷なんやない?」


事情を説明した後に、由貴先輩が告げたのは、私の為と歩君の為を思う言葉。


「ほら、バスケ部ん連中て人気やろ?やけん、御劔歩と仲良くしちょるとこげな女子に見られたら、やっかみ言われるかんしれんし」


それは、多分ずっとマネージャーをやっていて、且つ、去年の主将と付き合っている由貴先輩だからこそ言える忠告だと思う。


「まぁ、ちーちゃんがハッキリフったうえでお互いが友達でおりたいって思うんやったら、仲良くするのは悪ないと思う」


「……はい。ありがとうございます。歩君とは付き合えんって、ちゃんせなんですね」


由貴先輩の言ってることは正しいし、そうするべきだと思う。


……だからこそ、言えなかった。


実はこの後、歩君のお薦めのラーメン屋さんに二人で行くという事実を。
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