個人的事情につき“休暇をいただきます”
中村は仕事もできる有望な部下。
“上司”としては自信をもって仕事は任せられる。
が、しかし。
同じ“男”としては警報が鳴りっぱなしだ。
お前も俺と同じ目で彼女を見ているみたいだが。
これは俺のだ。
俺の許可なく彼女に触れた罪は重いぞ、中村。
明日、覚えておけ…。
「…さて、どうするか」
中村にイラつく俺の腕の中には。
支えなしに歩けないほど酔っている彼女。
時おり俺を見上げる顔は頬を染め、かつフニャフニャで。
その顔をめちゃくちゃに歪ませたくなる衝動にかられる。
それはもちろん痛みや苦しみではなく。
快楽で、だけど。
「おい、藍川」
「はぁい、藍川でぇす」
「…とりあえず、連れて帰るか」
話しかけても会話にならない彼女を抱えて。
俺はタクシーに乗り込んだ。