個人的事情につき“休暇をいただきます”
彼の誘惑
…で。
何がどうなったらこうなる?
出張先から彼女との待ち合わせの店へと向かうと。
そこにいたのは彼女…と、中村。
なんで中村がそこにいる?
4人掛けのテーブル席に隣同士で座る2人。
100歩…いや1万歩譲って向かい合わせならまだしも。
なんだって隣に座ってるんだ、中村よ。
しかも。
酒飲んで潰れたのか。
テーブルに突っ伏している彼女の後頭部を撫でている。
…それは俺のだ、触るんじゃねぇ。
そう思うが早く。
2人がいる席まで足を進めた。
「…中村」
「え、課長!?」
背後から声をかけると、中村は体をビクッとさせこちらを向いた。
「…その手をどかせ」
「え?」
「触るなって言ってんだよ」
情けないことに。
自分でもわかるくらい、声にもイラついてる感情が丸出しになっている。
でも。
俺以外が触れるのは許せないのだ。