個人的事情につき“休暇をいただきます”
俺の顔を見ながら彼女に触れていた手を離す中村を横目に。
俺は彼女の肩を揺らした。
「おい、起きろ」
「んー?起きてますよーお?」
頭は上げるけれど、虚ろな目でフニャリと笑う彼女。
…ダメだこりゃ。
完全に酔ってやがる。
「…中村」
「は、はいっ!!」
「お前が飲ませたのか?」
「違います!!俺は向こうで友達と飲んでただけで…たまたま同じ店に居合わせただけですよ」
焦ったように言葉を吐き出す中村に、ウソはなさそうだ。
…しかし。
彼女と飲みに行ったことはあるが、こんな風に酔っぱらうのは見たことがない。
「あの、課長…?」
「なんだ」
「藍川の約束の相手って…課長なんですか?」
恐る恐る口を開いた中村を横目に。
俺は彼女を立ち上がらせ腰に手をまわした。
「…見りゃわかんだろ」
空気読め、そう付け加えて。
俺は彼女を抱えるようにして店を出た。