ツンデレ社長と小心者のあたしと……zero
ツンデレ社長と小心者のあたしと……zero
「絶対に離れない」
「うん、離れる理由が見つからないよ」
クリスマスイルミネーションに照らされて、寄り添い、口づけを交わしたあたし達の事、きっと誰もが世界で一番幸せだって思ったに違いない。
「……あんな」
「……ミツアキ」
付き合って4ヶ月。
ケンカらしいケンカもなく、いつでも一歩前を歩いてあたしの事をひっぱってくれるミツアキ。
大学のサークルでも人気者だったミツアキに告白された時には本当に驚いた。
くせのある茶色い髪がイルミネーションに反射して煌めく。
ふわりと肩にミツアキのマフラーが降りてきた。
「寒くない?」
「うん、ここあったかいから」
ぎゅうっと抱きしめられた腕の中。
あたしはこの場所がどんなデートスポットよりも好きだった。
これまでは、恋愛って辛いことの方が多い。
そう思っていたけれど、そうじゃない。
満たされたものなんだと教えてくれた、初めての人。
あたしの腰をぎゅっと引き寄せると、二つの小さな陰は寄り添ったまま雑踏の中の景色になる。
こんな一つ一つの瞬間が大切で、愛おしくてたまらない。
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