ツンデレ社長と小心者のあたしと……zero
そんな日がずっと続くと思っていたのに……均衡が崩れたのはいつだっただろう。
気が付いた時にはすべてが終わっていて、もうあたしなんかの力じゃどうしようもなかった、としか言いようがない。
ミツアキは商社への就職を希望していた。
あたし達が通う大学からなら珍しい進路ではなく、人付き合いのうまいミツアキならそつなく面接をこなし、きっと希望の会社に勤められるだろう……とそう思っていた。
ところが、大学二年になった春だった。
目に見えて、明らかに連絡が減ってきたのだ。
【今日会える?】
そう聞いても、
【どうしても今やりたい事があるから。ごめん】
と謝られ、それで終わり。
ミツアキと仲のいい共通の男友達に様子を聞いてみても、浮気している様子はなく……むしろ、男子相手にも付き合いが悪くなっているんだと言う。
それは目に見えない恐怖だった。
理由も分からず、大好きな人の気持ちがじわじわと遠ざかっていく。
それなのに何も出来ず、いつか来るのでは……と別れの宣告に怯えながら待つことしかできないなんて。
そんなモヤモヤを抱えていたあたしが、久しぶりにミツアキに会えたのはそれから三週間も経ってからだった。