【完】女優橘遥の憂鬱
俺はその時、監督に脅された経緯を話す決意を硬めた。
「監督は俺の後で彼女と遣ったんです。その時俺の物に触れたようです」
「あら、違うわよ。監督の拾い物は、あの娘の自殺した両親の借用書よ。それも完済したヤツを悪用したのよ」
社長は驚くべき事実を話してくれた。
「あっ、それはりっぱな詐欺行為ですね」
「そう、だからそれでも検討中なのね」
「俺は強姦罪で逮捕されるのが怖かったんです。監督に『一番罪深いのはお前だ』って言われて」
「それって一体どう言うこと?」
「監督は俺の後で……『お前知らなかったのか。AVってのは体外放出なんだよ。皆で回すから、生で遣る時は中をキレイにしておかないといけないんだ』と言ってました。俺はそれさえ知らず……。監督が言った言葉にビビったんです。『お前の後は物凄かったぞ。安全日じゃなかったら、出来た子供はお前の子だ』って、言われて……。『もしDNA鑑定したら、出てくるのはお前のだけだ』って脅されていました」
俺はあの時の監督の言葉を思い出して又震え上がった。
「それは無いと思うわ。きっと全員分が出てくるはずね」
「何も知らないから騙されたのですか?」
「そうみたいね。刑事事件は七年、民事は二十年だけど、犯人知って三年なのよ。貴方の場合は、とっくに時効は成立よ。心配要らない。あっそうそう、彼女ね又モデルに戻るの。会ってみる?」
「いいんでかす?」
「勿論よ。貴方は彼女にとって一番大切な人みたいだから」
その言葉に俺は飛び上がりそうになった。
社長はそんな俺を見て笑っていた。
「あっそうそう。思い出した。監督が此処に来たのは確か行方不明の何処かの社長さんの娘を探す番組だったわ。何でも高速バスから居なくなったとか?」
「もしかしたら、自動車会社のですか? その娘だったら、俺の許嫁でした。俺達は同時刻に産まれたのです」
「へぇー、貴方の誕生日は?」
「十二月二十三日です。産まれた時はまだ昭和で、天皇誕生日ではなかったそうです」
「彼女は確かその三ヶ月前位かな?」
「そうです。あのバースデイプレゼンショーの時、俺は十九歳でした。彼女がその許嫁なら嬉しいんだけど、三ヶ月早いから……本当は辛いんです。母に紹介しづらくて」
俺の気持ちを察してか、社長は俺の肩を叩いて微笑んだ。
「監督は俺の後で彼女と遣ったんです。その時俺の物に触れたようです」
「あら、違うわよ。監督の拾い物は、あの娘の自殺した両親の借用書よ。それも完済したヤツを悪用したのよ」
社長は驚くべき事実を話してくれた。
「あっ、それはりっぱな詐欺行為ですね」
「そう、だからそれでも検討中なのね」
「俺は強姦罪で逮捕されるのが怖かったんです。監督に『一番罪深いのはお前だ』って言われて」
「それって一体どう言うこと?」
「監督は俺の後で……『お前知らなかったのか。AVってのは体外放出なんだよ。皆で回すから、生で遣る時は中をキレイにしておかないといけないんだ』と言ってました。俺はそれさえ知らず……。監督が言った言葉にビビったんです。『お前の後は物凄かったぞ。安全日じゃなかったら、出来た子供はお前の子だ』って、言われて……。『もしDNA鑑定したら、出てくるのはお前のだけだ』って脅されていました」
俺はあの時の監督の言葉を思い出して又震え上がった。
「それは無いと思うわ。きっと全員分が出てくるはずね」
「何も知らないから騙されたのですか?」
「そうみたいね。刑事事件は七年、民事は二十年だけど、犯人知って三年なのよ。貴方の場合は、とっくに時効は成立よ。心配要らない。あっそうそう、彼女ね又モデルに戻るの。会ってみる?」
「いいんでかす?」
「勿論よ。貴方は彼女にとって一番大切な人みたいだから」
その言葉に俺は飛び上がりそうになった。
社長はそんな俺を見て笑っていた。
「あっそうそう。思い出した。監督が此処に来たのは確か行方不明の何処かの社長さんの娘を探す番組だったわ。何でも高速バスから居なくなったとか?」
「もしかしたら、自動車会社のですか? その娘だったら、俺の許嫁でした。俺達は同時刻に産まれたのです」
「へぇー、貴方の誕生日は?」
「十二月二十三日です。産まれた時はまだ昭和で、天皇誕生日ではなかったそうです」
「彼女は確かその三ヶ月前位かな?」
「そうです。あのバースデイプレゼンショーの時、俺は十九歳でした。彼女がその許嫁なら嬉しいんだけど、三ヶ月早いから……本当は辛いんです。母に紹介しづらくて」
俺の気持ちを察してか、社長は俺の肩を叩いて微笑んだ。