【完】女優橘遥の憂鬱
その上、海翔さんを取り上げた週刊誌を読んでいたなんて……
そのタイトルは、【ジン・神と呼ばれた男――疑惑のチェリーボーイ】
だった。
『チェリーボーイって意味を知った時、思わず仰け反った』
って彼は言っていた。
でも何故仰け反ったのかを聞けなかった。
それは、きっと彼も言われたことなのだと思ったからだった。
今、事務所は面接ラッシュだ。
社長と共にスカウトした少女達がモデルの仕事をやりたくて集まって来る。
でもまだまだ足りない。
そこで、その新人を募集するためのポスターも彼の仕事となった。
勿論、宣伝用の写真撮影は事務所の一室を使用して彼が撮影する。
コンポジ製作にはお金がかかるが、事務所でいっぺんに作れば安上がりになるはずだった。
彼はグッドタイミングで現れたのだった。
「早速だけと、コンポジ見てみる?」
彼は頷きながら、社長の用意した二つのコンポジに目を通した。
「コンポジはね……、コンポジットの略語で、プロフィール写真とか、宣伝材料写真とか言うのよ。貴方の気に入った方を社長に提示してみてね」
彼に耳打ちするように言うと、ジックリと見比べてから一つを指し示した。
「コンポジとは、どうやらモデルの必須アイテムのようですね。だったらこのシンプルのほうが良いと思いますが……」
「流石ね。彼女が惚れ込むだけの資質はあるわ」
「きっとオーディションの時などに持ち歩き、自分を売り込むための物だと思います。モデルの履歴書。と、言った意味合いの物ですか?」
「そう、それを何部か用意しておく物なのよ。早速、彼女からやってみてね」
「でも、正直言って、何故これがダメなのか解らないのですが……。こんな格好いいポーズで決めても、ありかな? 何て気もしてますが……」
「それも一理あるけどね。そう言うのを好む人も確かに居るわ。でも、一部かな? 主催者側はそんなの求めてはいないの。自社の製品をいかに上手く表現出来るかってことよ。シンプルイズベストってトコかな?」
「ありがとうございました。納得致しました。この体験を活かして、頑張ってみます」
彼は頭を下げた。
そして、彼の仕事が開始されたのだった。
私の顔ばかり撮ってきた彼。
だからプロフィール写真は完璧だった。
社長は思わず彼を絶賛した。
そのタイトルは、【ジン・神と呼ばれた男――疑惑のチェリーボーイ】
だった。
『チェリーボーイって意味を知った時、思わず仰け反った』
って彼は言っていた。
でも何故仰け反ったのかを聞けなかった。
それは、きっと彼も言われたことなのだと思ったからだった。
今、事務所は面接ラッシュだ。
社長と共にスカウトした少女達がモデルの仕事をやりたくて集まって来る。
でもまだまだ足りない。
そこで、その新人を募集するためのポスターも彼の仕事となった。
勿論、宣伝用の写真撮影は事務所の一室を使用して彼が撮影する。
コンポジ製作にはお金がかかるが、事務所でいっぺんに作れば安上がりになるはずだった。
彼はグッドタイミングで現れたのだった。
「早速だけと、コンポジ見てみる?」
彼は頷きながら、社長の用意した二つのコンポジに目を通した。
「コンポジはね……、コンポジットの略語で、プロフィール写真とか、宣伝材料写真とか言うのよ。貴方の気に入った方を社長に提示してみてね」
彼に耳打ちするように言うと、ジックリと見比べてから一つを指し示した。
「コンポジとは、どうやらモデルの必須アイテムのようですね。だったらこのシンプルのほうが良いと思いますが……」
「流石ね。彼女が惚れ込むだけの資質はあるわ」
「きっとオーディションの時などに持ち歩き、自分を売り込むための物だと思います。モデルの履歴書。と、言った意味合いの物ですか?」
「そう、それを何部か用意しておく物なのよ。早速、彼女からやってみてね」
「でも、正直言って、何故これがダメなのか解らないのですが……。こんな格好いいポーズで決めても、ありかな? 何て気もしてますが……」
「それも一理あるけどね。そう言うのを好む人も確かに居るわ。でも、一部かな? 主催者側はそんなの求めてはいないの。自社の製品をいかに上手く表現出来るかってことよ。シンプルイズベストってトコかな?」
「ありがとうございました。納得致しました。この体験を活かして、頑張ってみます」
彼は頭を下げた。
そして、彼の仕事が開始されたのだった。
私の顔ばかり撮ってきた彼。
だからプロフィール写真は完璧だった。
社長は思わず彼を絶賛した。