【完】女優橘遥の憂鬱
彼女は今日東京に着いたばかりだった。
新宿駅東口のイベント広場隅にある茶色い物前でお兄いさんと待ち合わせていたと言う。
其処へ撮影クルーが通りかかり、いきなり背後から拉致したのだ。
私の予感が的中した。
(あのカメラマンがもし其処に居たなら……同じような服を着て、同じようなヘアスタイルだったとしても私を見間違うことなどない)
そう思っていた。
(あれっ、彼女のヘアスタイルさっきと違ってない?)
私はさっき東口で目にした彼女の髪型を思い出していた。
私は彼女にジェスチャーでそれを伝えた。
彼女はベッドを見て、外れてしまったウィッグを慌てて頭に付けた。
きっと彼女はショートヘアーの方が気付いてもらえると思ったのかな?
「えーっ!? もしかしたらAV女優の橘遥さん? 俺アンタの大ファンです」
突然、隣にいた男性が突拍子のない声を上げた。
「さっきから、何処かで会ったか考えていたんだ。雰囲気全然違うから解んなかった。この人に間違えられるなんてお前光栄だぞ」
(そんなバカな? 光栄のはずがない)
「デビュー作品が強烈で、何時も抜かせて貰っています」
恋人との結婚を考えている男性の言葉じゃないと思った。
でもなかなかその人と会えないらしいから、仕方ないのかな?
「この子は今日始めて東京に来たんだよ。そんな子を拉致してレイプしようなんて……、俺は絶対に許さない。これから警察を呼ぶから此処から逃げないように」
バイクで追い掛けてくれた男性はそう言いながら携帯電話を出した。
「あっ、それだけは。ホラ監督も謝って」
私はそう言うと、監督の頭を下げさせた。
「貴女が、其処まですることはない」
彼女のお兄さんはそう言いながら彼女に向かって目配せをしていた。
その時はまだ、カメラマンが辞めさせられた事実を知らなかった。
彼は監督から守ってくれる人だった。
それが気にくわなかった監督が、今回の撮影を期に引導をわたしたようだ。
それは、監督が私を商売道具として扱おうとして画策したためだったようだ。
そう……
全ての犯罪が時効になっていたからだった。
私はそんなことも知らないままに、監督に好き放題撮られるところだったのだ。
あの娘は本当に危なかったようだ。
新宿駅東口のイベント広場隅にある茶色い物前でお兄いさんと待ち合わせていたと言う。
其処へ撮影クルーが通りかかり、いきなり背後から拉致したのだ。
私の予感が的中した。
(あのカメラマンがもし其処に居たなら……同じような服を着て、同じようなヘアスタイルだったとしても私を見間違うことなどない)
そう思っていた。
(あれっ、彼女のヘアスタイルさっきと違ってない?)
私はさっき東口で目にした彼女の髪型を思い出していた。
私は彼女にジェスチャーでそれを伝えた。
彼女はベッドを見て、外れてしまったウィッグを慌てて頭に付けた。
きっと彼女はショートヘアーの方が気付いてもらえると思ったのかな?
「えーっ!? もしかしたらAV女優の橘遥さん? 俺アンタの大ファンです」
突然、隣にいた男性が突拍子のない声を上げた。
「さっきから、何処かで会ったか考えていたんだ。雰囲気全然違うから解んなかった。この人に間違えられるなんてお前光栄だぞ」
(そんなバカな? 光栄のはずがない)
「デビュー作品が強烈で、何時も抜かせて貰っています」
恋人との結婚を考えている男性の言葉じゃないと思った。
でもなかなかその人と会えないらしいから、仕方ないのかな?
「この子は今日始めて東京に来たんだよ。そんな子を拉致してレイプしようなんて……、俺は絶対に許さない。これから警察を呼ぶから此処から逃げないように」
バイクで追い掛けてくれた男性はそう言いながら携帯電話を出した。
「あっ、それだけは。ホラ監督も謝って」
私はそう言うと、監督の頭を下げさせた。
「貴女が、其処まですることはない」
彼女のお兄さんはそう言いながら彼女に向かって目配せをしていた。
その時はまだ、カメラマンが辞めさせられた事実を知らなかった。
彼は監督から守ってくれる人だった。
それが気にくわなかった監督が、今回の撮影を期に引導をわたしたようだ。
それは、監督が私を商売道具として扱おうとして画策したためだったようだ。
そう……
全ての犯罪が時効になっていたからだった。
私はそんなことも知らないままに、監督に好き放題撮られるところだったのだ。
あの娘は本当に危なかったようだ。