【完】女優橘遥の憂鬱
「後腐れ? 酷いな」
「彼女全部知ってた。橘遥さんが処女で、全員に遣られることを。だから俺、彼女と生活することが耐えられなくなったんだ」
「監督だってきっと、こんな仕事はやりたくないはずだよね?」
「ホラ、元々報道関係では名前が通っていた人だったからびっくりしたよ」
「なんでこんなことになってしまったんだろ?」
「監督は、彼女が俺と同棲している事実を把握していた。詳しく調べてみたら、元カノの子供と許嫁だった訳だ。監督の情報網を駆使すれば、それを割り出すくらいは簡単なことだったのだろう。俺への仕返しだったんだ」
(あれっ? 元カノって、何でこんな話になったんだ)
そう考えている内に気が付いた。
監督と社長の秘密をバラしてしまったことに……
俺は青ざめた。
「解っているよ。実は昨日、此方に戻る前に親父と一緒に……。社長は監督とのことを……」
「えっ!?」
「社長が監督の恋人にプロポーズしたってこと。その人が橘遥さんのお母さんだったってこと……、話してくれたんだ。明日君には打ち明けるって言っていた。俺も辛いが……、君はもっと辛いと思う。でも決して、橘遥さんにはバラしてはいけない」
「俺、優柔不断だからな。それで海翔君にも言ったのかな?」
「そうかも知れない。君が背負う物が余りにも重すぎるから、だから俺にも話してくれたのかな?」
「背負う物って?」
「それを俺から言わせる気かい?」
ハッとした。
きっと海翔君は全てを知っている。でも、彼女のために言わないだけなんだと思った。
俺より……
もしかしたら多くの物を背負っいると感じた。
「俺、帰ってきてから監督のことを色々と調べてみたんだ。俺にも良く判らないけど、どうやらヤラセで番組を故意で制作して責任を取らされたようなんだ」
「ヤラセ?」
「監督は現地で病気になったらしいね」
「高熱で苦しんでいたことは聞いたよ」
「有鉤条虫ってのが原因らしい。サナダ虫みたいなのが豚の体内にいるようだ」
「豚!?」
俺は耳を疑った。
今目の前で草を食べながら土地を開墾している豚。
それが監督が病に倒れた原因だったとは……
「豚は良く焼いて食べないといけないって知っているだろう?」
「ああ、何か菌が死なないとかだよね?」
「彼女全部知ってた。橘遥さんが処女で、全員に遣られることを。だから俺、彼女と生活することが耐えられなくなったんだ」
「監督だってきっと、こんな仕事はやりたくないはずだよね?」
「ホラ、元々報道関係では名前が通っていた人だったからびっくりしたよ」
「なんでこんなことになってしまったんだろ?」
「監督は、彼女が俺と同棲している事実を把握していた。詳しく調べてみたら、元カノの子供と許嫁だった訳だ。監督の情報網を駆使すれば、それを割り出すくらいは簡単なことだったのだろう。俺への仕返しだったんだ」
(あれっ? 元カノって、何でこんな話になったんだ)
そう考えている内に気が付いた。
監督と社長の秘密をバラしてしまったことに……
俺は青ざめた。
「解っているよ。実は昨日、此方に戻る前に親父と一緒に……。社長は監督とのことを……」
「えっ!?」
「社長が監督の恋人にプロポーズしたってこと。その人が橘遥さんのお母さんだったってこと……、話してくれたんだ。明日君には打ち明けるって言っていた。俺も辛いが……、君はもっと辛いと思う。でも決して、橘遥さんにはバラしてはいけない」
「俺、優柔不断だからな。それで海翔君にも言ったのかな?」
「そうかも知れない。君が背負う物が余りにも重すぎるから、だから俺にも話してくれたのかな?」
「背負う物って?」
「それを俺から言わせる気かい?」
ハッとした。
きっと海翔君は全てを知っている。でも、彼女のために言わないだけなんだと思った。
俺より……
もしかしたら多くの物を背負っいると感じた。
「俺、帰ってきてから監督のことを色々と調べてみたんだ。俺にも良く判らないけど、どうやらヤラセで番組を故意で制作して責任を取らされたようなんだ」
「ヤラセ?」
「監督は現地で病気になったらしいね」
「高熱で苦しんでいたことは聞いたよ」
「有鉤条虫ってのが原因らしい。サナダ虫みたいなのが豚の体内にいるようだ」
「豚!?」
俺は耳を疑った。
今目の前で草を食べながら土地を開墾している豚。
それが監督が病に倒れた原因だったとは……
「豚は良く焼いて食べないといけないって知っているだろう?」
「ああ、何か菌が死なないとかだよね?」