ごめんね、ボクのカラダ
「え?そんなに?」

裕樹はそれがどういう事かすぐにわかった。何故ならそれが原因で亡くなった身障者は数知れなかった。

「そんなに進行してたんですか?」

「これ見て下さい。坐骨が完全に炎症を起していて、今回の高熱が続いたのは多分これが原因でしょう。」

裕樹は自分のMRIをマジマジと見た。左右見比べると左坐骨先端がかなり白くなっている。確かに炎症を起している証拠だ。

「まず、褥創部がポケット状に抉れて、坐骨まで到達しています。当然外気と触れるようなとこではないです。筒状に空いたトンネルを通って菌が入り、それが骨髄に入って血液にのって全身に回ったんでしょう。」

『ゴクッ。まだ生かされている。』

あまりにも張り詰めた空気がなんとも居心地を悪くさせた。

「まだ悪運尽きてないって事ですね」

担当医は無言で頷くだけだった。それだけ危険一歩手前で踏ん張ったって事がとって分る。

「早乙女さん、どちらにしてもオペをして骨を削って患部を綺麗にしないと。当院ではオペが出来る施設が整ってないのと、看護の面で不十分なので大学病院に転院できるよう掛け合ってみます。数日お時間下さい。」
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