無愛想な彼が私を見ない理由



だから、あの日。

本を忘れて教室に戻ったとき、

彼女がいてびっくりした。


話しかけないのは感じが悪い。

けど、何を話せというんだ。


岡野 葉月


特に五月蝿くもなく、大人しい子だったけど、

笑った顔はその時から、

可愛い、なんて柄にもないこと思ったりして。


…………あのとき出来たのは、窓を閉めるのを手伝うくらいだった。


だって話せないんだから。


話したことだって、ないんだからさ。




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