無愛想な彼が私を見ない理由
『ちょっと来れる?』
『あ、はい』
早瀬さんは先生の方へ行った。
『ごめん、葉月ちゃん。
…………今日は聞いてくれてありがとう』
そう言って、図書室を出た。
シーンと静かになる。
「…………はぁ」
ため息が零れる。
私はどうすれば良かったんだろう。
早瀬さんは私に宣戦布告でもしたかったんだろうか。
それとも他に何かあるんだろうか。
今日で唯一分かったことは、
“早瀬さんは佐倉くんが好き“
ってことだけ。