無愛想な彼が私を見ない理由
佐倉くんは近くにある本には手を伸ばさず、
空をぼーっと見てる。
今なら、色々話してもいいのかな?
「ねぇ、佐倉くん」
『ん?』
「前髪………、切ったんだね」
『あぁ………』
そこまで言うと、佐倉くんは自分の前髪を少し触って、
『本読むのに邪魔だから、ね』
と、言った。
けどまだ、彼の言葉は続いていて
『後、岡野さんにも“前髪切っても怖くない”って言われたから』
とも言った。