無愛想な彼が私を見ない理由
『この前、本屋には誰かと来てたの?
いつも仲の良さそうなあの子?』
柳くんの目線の先には叶波がいた。
あ、そうゆうことかっ。
「違うよ、この前はね……」
“佐倉くんと行ってたの”
それが本当のことなんだけど、
それは言えない。
だって、私そんなこと言ったら、
名前出すだけでも、少し顔が緩んで、
きっと皆にバレてしまう。
そのぐらい分かりやすいんだ、私は。
「内緒かな?」
誤魔化すのも下手だけど。