無愛想な彼が私を見ない理由
(………なんで佐倉くん、今日に限ってフライングなんか……っ)
佐倉くんのこと、ほんとつかめない。
けど、好きで仕方ない。
『葉月ちゃんっ!』
廊下に出たとき、私を呼ぶきれいな声がきこえた。
慌てて足を止める。
「かおりちゃん!」
私のことを呼んだのは、もちろんかおりちゃんだった。
いつものように優しそうに笑ってて、
つられて私も笑顔になる。
でも今日は1人じゃなかった。
『かおり、誰この子』
かおりちゃんの隣にいた女の子が私を見てそう言った。