無愛想な彼が私を見ない理由



「はぁ………、着いちゃった………」


図書室のドアの前で、手が震える。

どうなってもいいのに怖くなって。


………本当はそんなの嘘。

失恋なんてしたくない。

このままずっと佐倉くんを好きでいたい。


ずっと、このままずっと……っ。


私は図書室のドアに手をかける。

ぐいっと手に力をいれて。


思わず手を離してしまいそうだったけど。


震えて、目そらしたくなるくらい逃げたくて。





……でも、無理だったみたい。









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