無愛想な彼が私を見ない理由



ガラッと大きな音をたてながらドアを開く。

そして、苦しいくらい真っ直ぐ前を見た。


「佐倉くん!!」


いつも出さない大きな声で彼を呼ぶ。

ごめんなさい、


私は佐倉くんが好きで仕方ないんです。



だから、お願い。

私から目をそらさないで下さい。



いつものように本を読む彼は、

少しだけ驚いた顔で私を見た。


やっと、

あのとき以来に


彼の目を見た。





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