無愛想な彼が私を見ない理由
何分か本を読んでいると、
教室のドアがガラッと開いた。
ふっと顔を上げた。
「佐倉くん!!!」
私は入ってきたのが佐倉くんだと思った瞬間、
大声で彼を呼んだ。
パチッと目があった。
心臓が五月蝿くなるのを無視していた。
『…………………なに?』
「え……………っとぉ…………」
あー……、駄目だ。
言葉がうまく出ない。
「……ほ、本を………」
そういいかけたら、佐倉くんは私の方を見て、
『あ、貸してくれるんだ?』
と口角を上げた。