無愛想な彼が私を見ない理由
「怖くなんかないです……」
また声がいつも通りなくらい弱々しいなって、
説得力にかける声になってしまった。
正直言ってその目にでさえ、惹かれてしまったらしい。私は。
だから怖いなんて思わないんですよ。
『………じゃ、前髪切ろうかな』
ボソッと耳元で聞こえた声にはっと反応した。
『岡野さんがそう言うなら、切るかなって思って。
でも周りの人、怖がんねぇかなー』
と、私から離れていつもより荒い口調で言った。