無愛想な彼が私を見ない理由



……。


少しの沈黙の後、佐倉くんはキョトンとして


『へぇ?』


と言った。

多分彼は言葉の意味を理解していない。

こっちは心臓がもたないという意味で言ったのだけど。


『じゃあ、またやろうかな』


「えぇっ!?」


珍しく彼は口角を少しだけあげ、

笑った。


そんな笑顔でさえもかっこいいとまた、思ってしまった。


これは私、本当に悪趣味なのかな……。


『じゃあ、岡野さん。今度は俺が本貸すよ。

何か面白いのがあったらだけど』


ぶっきらぼうに言った言葉に


「うん!お願いします!」


と笑顔で笑った。



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