無愛想な彼が私を見ない理由


 
佐倉くんはその後『じゃ』って言って、

教室を出た。


私は小さくだけど、手を振った。


(それにしても、佐倉くんのことは読めないなぁ………)


今回のは本当にびっくりしたよ……。

…………けど、本当に私は何とも思われてないのかな……。


………でもなんか、いっかな。

笑ってくれただけ、うれしかったし。


「明日、叶波に話さなきゃ……」


そう呟いて、私も教室を出た。

廊下にはもう誰もいなくて、静かだった。




< 78 / 353 >

この作品をシェア

pagetop