グラッドアイ
退屈な夜
『やめて……』
『そんなんで止められるわけないじゃん』
男に無理やり抱き締められて、途方に暮れる女の顔が映し出される。
俺、藤城陽希(ふじしろ はるき)が出演中の深夜枠ドラマの1コマ。
ヒロインが好きで主人公の邪魔をする恋敵、それが俺の役。
綺麗な涙を浮かべているヒロインは、モデル出身の女優、亜弥葉(あやは)。
この清純そうな顔を見ると、先程の情景が目に浮かび、その落差に苦笑した。
―――――
―――
「ねえ、ハルキ。この後、遊ばない?昔みたいに」
ドラマの撮影が始まってから仕掛けられる、亜弥葉の手管をノラリクラリとかわして来た結果。
俺の楽屋にまで入り込み、耳元で色気たっぷりに囁く亜弥葉の顔は、テレビの顔とは大違いのとんだメスネコぶりに溜息が漏れる。
昔のツケがこうやって回ってくる度に、十代の頃の自由奔放だった下半身を恨めしく思う。
「遊ばない。お前と寝るとか無理」
首元に巻かれた腕を素っ気なく外す俺に対して、唖然とした視線を送る。
断られることなど前提にしてない亜弥葉の顔は、見る見るうちに怒りで真っ赤に染った。
「失礼しちゃうっ!!噂通り、随分とつまらない男になり下がったのね」
亜弥葉は眉を上げて、フンッと鼻を鳴らしながら俺の体を突き離した。
『そんなんで止められるわけないじゃん』
男に無理やり抱き締められて、途方に暮れる女の顔が映し出される。
俺、藤城陽希(ふじしろ はるき)が出演中の深夜枠ドラマの1コマ。
ヒロインが好きで主人公の邪魔をする恋敵、それが俺の役。
綺麗な涙を浮かべているヒロインは、モデル出身の女優、亜弥葉(あやは)。
この清純そうな顔を見ると、先程の情景が目に浮かび、その落差に苦笑した。
―――――
―――
「ねえ、ハルキ。この後、遊ばない?昔みたいに」
ドラマの撮影が始まってから仕掛けられる、亜弥葉の手管をノラリクラリとかわして来た結果。
俺の楽屋にまで入り込み、耳元で色気たっぷりに囁く亜弥葉の顔は、テレビの顔とは大違いのとんだメスネコぶりに溜息が漏れる。
昔のツケがこうやって回ってくる度に、十代の頃の自由奔放だった下半身を恨めしく思う。
「遊ばない。お前と寝るとか無理」
首元に巻かれた腕を素っ気なく外す俺に対して、唖然とした視線を送る。
断られることなど前提にしてない亜弥葉の顔は、見る見るうちに怒りで真っ赤に染った。
「失礼しちゃうっ!!噂通り、随分とつまらない男になり下がったのね」
亜弥葉は眉を上げて、フンッと鼻を鳴らしながら俺の体を突き離した。
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