グラッドアイ
ケツを振りながら楽屋から出ていく姿に、入れ違いに戻って来た俺のマネージャー佐竹さんは、首を傾げた。
「何して怒らせたんだ?」
「何もしないから、御不興を買っただけ。あ~あ、撮影終わるまでは上手くやろうと思ったけど、面倒臭いからもういいや。今日は、もう終わりだろ」
帰ろうよ、と佐竹さんの背中をぽんっと叩き、俺も楽屋を後にした。
佐竹さんが運転する車の助手席に座ると、俺はいつものようにスマホを握る。
彼女からのメールは来ていない。
俺の小さな溜息を聞きつけて、佐竹さんは笑いを滲ませる。
「どれだけ惚れてるんだか」
「今日は、仕事が首尾良く仕事が済めば、高校の同窓会だってさ。何も来てないってことは行けたのかな」
俺は窓の外を見ながら呟く。
高校なんて懐かしく思うほど通っていない俺には、よく分らないけど。
大事な時間を共有した人間に会えるのは、彼女にとって楽しいことなのだろうと思う。
それが多少、甘酸っぱいものだったとしても。
「今日は迎えに行くとか勘弁してくれよ。まぁ、少し緩めてやんないと、並木さんに窮屈に思われるしな」
「ハイハイ。俺も場所知らないしぃ」
……分ってるさ、その位。
その位の分別は持っているつもり……俺なりに。
「何して怒らせたんだ?」
「何もしないから、御不興を買っただけ。あ~あ、撮影終わるまでは上手くやろうと思ったけど、面倒臭いからもういいや。今日は、もう終わりだろ」
帰ろうよ、と佐竹さんの背中をぽんっと叩き、俺も楽屋を後にした。
佐竹さんが運転する車の助手席に座ると、俺はいつものようにスマホを握る。
彼女からのメールは来ていない。
俺の小さな溜息を聞きつけて、佐竹さんは笑いを滲ませる。
「どれだけ惚れてるんだか」
「今日は、仕事が首尾良く仕事が済めば、高校の同窓会だってさ。何も来てないってことは行けたのかな」
俺は窓の外を見ながら呟く。
高校なんて懐かしく思うほど通っていない俺には、よく分らないけど。
大事な時間を共有した人間に会えるのは、彼女にとって楽しいことなのだろうと思う。
それが多少、甘酸っぱいものだったとしても。
「今日は迎えに行くとか勘弁してくれよ。まぁ、少し緩めてやんないと、並木さんに窮屈に思われるしな」
「ハイハイ。俺も場所知らないしぃ」
……分ってるさ、その位。
その位の分別は持っているつもり……俺なりに。